不整脈とは
不整脈とは脈のリズムに異常が見られる状態のことを言います。正常な状態であれば、脈は「一定の範囲内」で「一定のリズム」を維持していますが、様々な原因でリズムがゆっくりになったり、早くなったり、不規則になったりします。これらのいずれかの状態に当てはまることを不整脈といいます。
不整脈の種類と原因
不整脈には以下の3つの種類があり、種類によっても原因はさまざまあります。
(1)期外収縮(不規則な脈) (2)頻脈(通常よりも早い脈)
(3)徐脈(通常よりも遅い脈)
(1)期外収縮
脈が「飛ぶ」と言われるタイプの不整脈で、脈拍に時々不規則な動きが見られます。症状を感じることは少ないですが、のどや胸のつかえや動悸、短時間の痛みなどの症状が出ることもあります。
加齢が主な原因で、30歳を過ぎたころからほとんどの人に見られます。ただし、心筋梗塞や心筋症が原因となっていることもあるため注意が必要です。
(2)頻脈
脈が1分間に100回以上になるタイプの不整脈です。脈が早すぎて、心臓に十分な血液が溜まる前に血液を送り出そうとするため心臓が空打ちしている状態になり、脳に十分な血液が送られなくなります。
頻脈は運動や飲酒、カフェイン、不安、脱水、発熱などの一時的なものから、心不全や内分泌異常などの病気にかかわるものまで様々な原因によって起こります。
(3)徐脈
脈が1分間に50回未満になったり、脈が数秒間止まったりするタイプの不整脈です。脈を打つ回数が少なくなるため、脳に流れる血液が少なくなり、失神を起こしたり、疲労感や倦怠感を感じることがあります。
徐脈は加齢によって起こることが多いですが、何らかの病気や薬の副作用で起こることもあります。
不整脈の症状
不整脈は心臓から血液を送る力が弱くなっている状態のため、
- 体が疲れやすい
- 疲労感
- 息切れ・息苦しさ
- めまい
- 動悸
などの症状が見られます。
また重症の場合には、
- 失神
- 突然死
など命に係わることもあります。
不整脈の合併症
不整脈は血流が悪くなることで、血栓ができて脳梗塞を起こすことがあります。脳梗塞になると、視野が欠けたり、手足の麻痺、意識障害などの症状が起きます。
また、心臓の動きが悪い状態でもあるため、心不全を発症しやすくなります。心不全になると足のむくみや肺に水がたまるなどの症状を起こすことがあります。
不整脈の治療
不整脈の治療は大きく分けて以下の4つになります。
(1)内服薬治療
脈拍を整える抗不整脈薬や血栓を予防する抗凝固薬を服用して治療していきます。抗不整脈薬は不整脈があるからといって、必ず服用することはありませんが、症状が強い場合や重篤な不整脈が見られた場合に服用していきます。
(2)生活習慣改善
不整脈は日ごろの生活習慣によっても影響を受けやすく、喫煙やカフェイン摂取、ストレス、睡眠不足などによっても頻度が増えます。また、運動することで自律神経を整えて不整脈を減らす効果も期待できるため、食事と運動には注意しましょう。
(3)ペースメーカー
ペースメーカーは基本的に徐脈の場合で、心臓に一定のリズムで電気信号を与えて脈拍リズムを整える治療です。ペースメーカーは鎖骨のあたりに埋め込む手術が必要になります。ペースメーカーを付けている場合、低周波治療器やMRI検査など電気や磁気の影響を受けるため、注意が必要です。
当院ではペースメーカーの手術は実施していませんので、手術が必要と思われる場合には基幹病院など対応可能な病院を紹介いたします。
(4)手術(カテーテルアブレーション)
カテーテルで不整脈を起こす原因の場所を焼灼する治療です。心臓で発生する電気信号に異常が見られる場所を特定して、不正な電気の流れを止めて不整脈を治療していきます。当院ではカテーテル手術は実施していませんので、手術が必要と思われる場合には専門の医療機関や基幹病院など対応可能な病院を紹介します。
不整脈で気を付けたい事
不整脈は年齢が上がるにつれて発生する頻度が高くなります。動悸や息切れなど日ごろの生活の中で、違和感を感じることがあれば早めに医療機関を受診することがおすすめです。脈が早い気がする、ゆっくりな気がするなど些細なことだと思っても、病気の発見につながることもありますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。