高尿酸血症とは
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0mg/dL以上の状態を指します。尿酸は体内でプリン体という物質が分解される際に発生する老廃物で、通常は尿や便として体外に排出されます。
しかし、尿酸の産生が過剰になったり、排泄が十分に行われなかったりすると、血液中の尿酸濃度が上昇します。
高尿酸血症の種類
高尿酸血症には、3つのタイプがあります。
尿酸産生過剰型
- 体内で尿酸が過剰に作られるタイプ
- プリン体を多く含む食品（レバー、魚卵、アルコールなど）の過剰摂取が関与
遺伝的な影響や細胞の異常な分解が原因になることも
尿酸排泄低下型
- 腎臓からの尿酸排泄がうまくいかないタイプ
- 体質的な要因や腎機能低下、薬剤の影響（利尿薬など）が関与
混合型
- 尿酸の産生増加と排泄低下が同時に起こるタイプ
- 食生活や運動不足、肥満、ストレスなどが関与
高尿酸血症は、放置すると痛風や腎障害を引き起こす可能性があるため、早めの対策が重要です。
痛風とは
痛風のメカニズム
痛風とは、高尿酸血症が進行し、関節内に尿酸の結晶が沈着することで起こる炎症性疾患です。特に足の親指の付け根（第一中足趾関節）に痛風発作が起こることが多く、突然の激しい痛みや腫れ、赤みを伴うのが特徴です。
痛風の症状は、尿酸の結晶に対する免疫反応によるものであり、白血球が結晶を攻撃することで炎症が引き起こされます。
痛風の症状
- 急性発作（痛風発作）
- 突然の激しい関節痛（特に夜間や早朝に発生しやすい）
- 患部の腫れ、熱感、発赤
- 痛みが数日～1週間程度持続する
慢性期には痛風発作を繰り返すことで関節が変形することがあり、尿酸結晶が皮下に沈着し、「痛風結節」と呼ばれるコブができるようになります。
痛風発作は、突然発生することが多いため、発作を経験した方は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症の主な原因は、生活習慣、体内の尿酸産生の増加、尿酸排泄の低下です。
食事と生活習慣
- プリン体の過剰摂取（レバー、魚卵、肉類、アルコールなど）
- アルコールの摂取（特にビールや日本酒はプリン体が多く、尿酸の排泄も妨げる）
- 水分不足（尿酸が尿として排泄されにくくなる）
- 運動不足や肥満（脂肪組織が尿酸を作りやすくなる）
遺伝的要因
親や兄弟に高尿酸血症や痛風の方がいる場合、遺伝的な影響を受ける可能性が高くなります。
病気や薬の影響
- 腎機能低下（尿酸の排泄が低下する）
- 糖尿病や高血圧（尿酸値を上昇させる要因となる）
- 薬剤（利尿薬や一部の抗がん剤）
このように、高尿酸血症は多くの要因が絡み合って発生するため、適切な治療と生活習慣の見直しが重要です。
高尿酸血症を放置しているとどうなるの？
痛風発作のリスク
高尿酸血症を放置すると、痛風発作のリスクが高まります。特に尿酸値が8.0mg/dL以上になると、痛風発作の発症リスクが急激に上昇すると言われています。
腎障害（痛風腎）
尿酸が腎臓に沈着すると、腎機能が低下し、「痛風腎」と呼ばれる状態になります。痛風腎が進行すると腎不全に至ることもあるため、注意が必要です。
尿路結石
尿酸が結晶化すると、尿管に結石ができることがあります。尿路結石は強い痛みを伴うことがあり、再発を繰り返しやすいのが特徴です。
動脈硬化や心血管疾患
高尿酸血症は、高血圧や脂質異常症、糖尿病と関連が深く、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも増加するため、早めの治療が必要です。
高尿酸血症の治療方法
高尿酸血症の治療は、「生活習慣の改善」と「薬物療法」の2つが柱となります。尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合でも、症状がなく痛風発作を起こしていない場合は、まず生活習慣の見直しを行います。
しかし、痛風発作を繰り返している場合や、尿酸値が9.0mg/dL以上の場合は、薬物療法が必要になることがあります。
生活習慣の改善
生活習慣の見直しによって尿酸値をコントロールすることが、痛風や合併症の予防につながります。日々の食事や生活習慣を改善しましょう。
①食事療法
- プリン体を多く含む食品を控える
- レバー、魚卵（イクラ、タラコ）、肉類（特に内臓系）、干物（干し椎茸、煮干し）などは控えめにする。
特に1日に摂取する肉や魚の量は100g程度までが目安。 - アルコールを控える
- ビール、日本酒はプリン体が多く含まれており、尿酸値を上げやすい。
ウイスキーや焼酎は比較的プリン体が少ないが、アルコールそのものが尿酸の排泄を抑制するため、飲みすぎには注意。 - 水分をしっかり摂る
- 尿酸を排泄するために、1日2リットル以上の水分摂取を心がける。
コーヒーやお茶に含まれるカフェインには尿酸排泄を促す作用がある。 - 乳製品や野菜を積極的に摂る
- 牛乳やヨーグルトには尿酸値を下げる効果があるとされている。
野菜に含まれる食物繊維は尿酸の吸収を抑える働きがある。
②適度な運動を取り入れる
肥満は尿酸値を上げる原因となるため、適度な運動を心がける。
ただし、激しい運動（短距離走や筋トレのやりすぎ）は尿酸を増やすため注意が必要。
ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの有酸素運動を継続することが大切。
③ストレスをためない
ストレスが溜まると交感神経が刺激され、尿酸値が上昇しやすくなる。
十分な睡眠やリラックスする時間を確保し、ストレス管理を意識することも重要。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは尿酸値が下がらない場合や、すでに痛風発作を経験している場合には、薬を使用して尿酸値を下げる治療を行います。
- 尿酸生成抑制薬（尿酸が作られるのを防ぐ薬）
- 尿酸排泄促進薬（尿酸を尿として排泄しやすくする薬）
- 痛風発作時の治療薬（痛みや炎症を抑える薬）
痛風は何科に受診すればよいのか？
内科または整形外科が一般的
痛風発作が起きた場合、最初に受診するべき診療科は内科または整形外科です。
痛風専門外来や腎臓内科が必要なケース
- 尿酸値が異常に高く、腎機能障害が疑われる場合→腎臓内科
- 痛風発作を頻繁に繰り返す場合→リウマチ・膠原病内科
まずは一般内科を受診し、必要に応じて専門医への紹介を受けることが適切です。
高尿酸血症の予防と改善策
- 水分をしっかり摂取し、尿酸を排泄しやすい体づくりをする
- プリン体の多い食品を避け、バランスの良い食生活を心がける
- 適度な運動を取り入れ、肥満を解消する
- アルコールの摂取を控えめにする（特にビールは注意）
- ストレスをためず、規則正しい生活を送る
痛風を早く治すには？
- 痛風発作が起きたら、まずは患部を冷やして安静にする
- すぐに抗炎症薬（NSAIDsやコルヒチン）を服用する
- 痛風発作が落ち着いたら、尿酸値を下げる治療を開始
- 水分摂取を増やし、尿酸を排泄しやすい状態を作る
高尿酸血症・痛風についてよくある質問（FAQ）
- 高尿酸血症は完治しますか？
- 高尿酸血症そのものを「完治」させることは難しいですが、適切な治療と生活習慣の改善を行えば、尿酸値を正常範囲に維持することは可能です。
食事や運動に気をつけながら、定期的な血液検査を受けることが大切です。 - 痛風は何歳くらいから発症しやすいですか？
- 痛風は40～50代の男性に多くみられますが、食生活の欧米化や肥満の増加により、30代や20代の若い世代でも発症するケースが増えています。女性は閉経後に発症しやすくなる傾向があります。
- 痛風発作はどのくらいで治まりますか？
- 適切な治療を受ければ、通常1週間程度で痛みは治まります。ただし、放置すると痛みが長引いたり、発作を繰り返すリスクが高まるため、早めの治療が重要です。
- 痛風発作が起きたときにしてはいけないことは？
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- 発作時に尿酸を下げる薬を急に飲み始めないこと（逆に発作が悪化する可能性があります）
- 患部を温めないこと（炎症が強まり、痛みが悪化する可能性があります）
- 激しい運動をしないこと（尿酸値が変動し、発作が悪化する可能性があります）
- 痛風発作中にお酒を飲んでも大丈夫ですか？
- 痛風発作中のアルコール摂取は厳禁です。アルコールは尿酸値を上げるだけでなく、炎症を悪化させる可能性があるため、発作が治まるまでは控えましょう。
- 痛風発作は繰り返しますか？
- 尿酸値が高いまま放置すると、痛風発作を繰り返すリスクが高くなります。最初の発作から1年以内に再発するケースも多く、発作の間隔が短くなり、最終的に慢性痛風へと移行することがあります。
- 高尿酸血症と診断されたら、すぐに薬を飲むべきですか？
- 尿酸値が7.0mg/dL以上でも、痛風発作を起こしていない場合は、まず生活習慣の改善を優先します。ただし、尿酸値が9.0mg/dL以上の場合や、痛風発作を繰り返している場合は、薬物療法が必要になることがあります。
- 痛風と関節リウマチは違う病気ですか？
- はい、異なる病気です。
痛風は尿酸の結晶が関節にたまることで起こる炎症性疾患ですが、関節リウマチは自己免疫の異常による慢性の炎症性疾患です。痛みの出方や関節の腫れ方に違いがありますが、自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。 - 痛風発作を起こしたことがないのに、尿酸値が高いと言われました。これは放っておいても大丈夫ですか？
- 痛風発作がなくても、尿酸値が高い状態が続くと腎臓や血管にダメージを与え、腎不全や動脈硬化、尿路結石のリスクが高まります。定期的な検査を受け、生活習慣を見直すことが重要です。
高尿酸血症や痛風が気になる方は、堺市西区のくげクリニックへご相談ください。
尿酸値の管理は、痛風発作の予防だけでなく、腎臓や血管の健康を守るためにも重要です。
当院では、生活習慣の指導から薬物療法まで、状態に合わせた最適な治療を提供いたします。お気軽にご相談ください。
