脂質異常症(高コレステロール血症)とは
血液中には主に、コレステロール・中性脂肪・リン脂質・遊離脂肪酸4種類の脂質が含まれています。
コレステロールは細胞膜やホルモン、消化器に必要な胆汁酸のもととなる物質です。中性脂肪は、エネルギー源となる物質で、体内にエネルギーとして蓄えられたり、体温を保持したり、内臓を外部からの衝撃から守ったりするなど、体内で重要な役割もありますが、脂質が多くなりすぎると問題となってくる場合もあります。
これらの脂質の中でも
1)「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)が多すぎる、
もしくは
2)「善玉」とも呼ばれるHDLコレステロールが少なすぎる
状態のことを脂質異常症(高コレステロール血症)といいます。
脂質異常症(高コレステロール血症)の原因
脂質異常症の原因は、過食・肥満・運動不足・喫煙・アルコールの飲みすぎといった生活習慣の乱れや、ストレスなどがあげられます。内臓周囲に脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」の方ではLDLコレステロールや中性脂肪の数値が高くなりやすく、HDLコレステロールは低くなりやすい傾向があります。
また、家族歴や特定の遺伝子異常などが原因によって起こる「家族性高コレステロール血症」もあります。この場合はLDLコレステロール値と脂質異常症を発症するリスクが高くなり、動脈硬化が進行しやすいとされています。
ご家族(血のつながった)に脂質異常症や、男性の場合は55歳未満・女性の場合は65歳未満で心筋梗塞を起こしたことのある方がいる場合は、家族性高コレステロール血症の可能性が高いため、一度自身のLDLコレステロール値を確認してみるとよいでしょう。
脂質異常症(高コレステロール血症)の症状
脂質異常症の多くは自覚症状がありません。定期健診等で血液検査を受けていただき、脂質数値を知っておくことが大切です。
脂質異常症が進行して動脈硬化が進むと、血管が狭くなったり詰まったりして、血流が悪くなり、下記の症状が起こります。
- 胸の痛み
- 息切れ
- めまい
- 手足のしびれ
- 視力障害
家族性高コレステロール血症の場合は、皮膚や手足の腱にコレステロールの沈着によって脂肪のかたまりができたり、黒目のふちに沿ってコレステロールの白い色素の沈着が見られたりすることがあります。
脂質異常症(高コレステロール血症)の合併症
脂質異常症を放置することで動脈硬化を引き起こし、下記の合併症を発症するリスクが高くなります。
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 狭心症
- 動脈瘤
- 腎臓病
- 糖尿病
脂質異常症(高コレステロール血症)の治療
脂質異常症の治療や動脈硬化疾患を予防するためには、生活習慣の改善(食事療法・運動療法・禁煙)を行います。
食事療法や運動療法を行っても脂質の数値が改善されない場合は、薬物療法を行います。薬物療法には、LDLコレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬、HDLコレステロールを高める薬などがあります。
脂質異常症(高コレステロール血症)で気を付けたいこと
食事療法では、「主食」・「主菜」・「副菜」を組み合わせバランスよく食事をとり、腹八分目を心がけることで過食を防ぎます。脂質(肉の脂身・乳製品・卵黄)・食塩を多く含む食品の摂取は控え、魚類・大豆製品・野菜・果物・海藻などのカルシウムやビタミン、食物繊維の摂取を多くとるようにしましょう。
ただし、極端な食事制限や欠食はやめましょう。一時に体重は減りますが、内臓脂肪は必ずしも減少しません。また、筋肉量を減らしてしまったり、太りやすい体質になってしまう可能性もあり、生活習慣病のリスクを上げることにもなりかねません。
運動療法では、有酸素運動はHDLコレステロールを高める効果があります。ウォーキングやジョギングなどを(1日30分以上週3回以上)無理のない範囲で継続して行うようにしましょう。