堺市西区のくげクリニックでは、心雑音を指摘された方の診察や検査を行っています。
心雑音とは、心臓の拍動に伴って通常の心音以外に聞こえる異常な音のことを指します。
多くの場合、健康診断や定期検診の際に偶然見つかることが多く、特に症状がない方でも指摘されることがあります。
心雑音はすべてが危険なものではなく、大きく分けて「生理的心雑音」と「病的心雑音」の2種類があります。生理的心雑音は健康な方にも聞こえることがあり、特に小児や若い方では成長とともに消えることがほとんどです。一方で、病的心雑音は心臓の構造的異常や病気が関係している可能性があり、適切な検査と診断が必要になります。
心雑音とは
心雑音(しんざつおん)とは、心臓の拍動に伴って通常の心音以外の異常な音が聞こえる状態を指します。心音とは、心臓の弁が開閉する音であり、正常な場合は「ドクン、ドクン」と規則正しく聞こえます。しかし、心雑音があると、これに加えて「ザーザー」「ヒューヒュー」「ゴロゴロ」といった音が混じることがあります。
心雑音は、血液が心臓内を流れる際に発生する乱流によって生じることが多く、血流の速さや圧力の変化、心臓弁の異常などが影響することがあります。医師が聴診器を使って胸の音を聞いた際に発見されることが一般的です。

心雑音が発生する仕組み
心臓には、全身に血液を送り出すための4つの部屋(心房と心室)があり、これらの間を血液が移動する際に心臓弁が開閉します。正常な血流では、弁がしっかりと開閉し、スムーズに血液が流れるため、余計な音は発生しません。
心雑音の発生原因は多岐にわたり、一時的なものもあれば、治療が必要なものもあります。そのため、心雑音を指摘された場合は、まずは専門の医師に相談し、適切な診断を受けることが大切です。

心雑音の種類
生理的心雑音(機能的心雑音)
生理的心雑音は、心臓に特に異常がなくても聞こえる心雑音のことで、多くの健康な人にも見られます。特に小児や若い方では頻繁に見られ、成長とともに自然に消えることがほとんどです。
- 血流の増加
- 運動や発熱、興奮時に血流が一時的に速くなると、心雑音が聞こえることがあります。
- 心臓の壁の薄さ
- 小児では大人と比べて心臓の壁が薄いため、血流音が強調されて聞こえやすくなります。
- 貧血
- 貧血になると血液の粘度が低下し、血流が速くなることで心雑音が生じることがあります。
生理的心雑音は病気ではないため、特別な治療を必要としません。通常、経過観察のみで問題なく、成長とともに消えることが多いです。ただし、不安な場合は定期的な診察を受け、医師に相談することをおすすめします。
病的心雑音
病的心雑音は、心臓や血管の異常によって発生する心雑音であり、何らかの疾患が関係している可能性が高いため、精密検査が必要です。病的心雑音の特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 持続的に聞こえる
- 生理的心雑音と異なり、安静時でも継続して聞こえることが多いです。
- 音の強さが増していく
- 時間とともに心雑音が強くなる場合、心臓の疾患が進行している可能性があります。
- 症状を伴う
- 息切れ、胸痛、むくみ、疲れやすさなどの症状がある場合、心臓病の可能性が高くなります。
病的心雑音が疑われる場合は、早めに医療機関で検査を受けることが重要です。
心雑音の強度を示す指標(Levine分類)
心雑音の強さ(大きさ)は、「Levine(レビン)分類」という6段階の指標によって評価されます。これは、医師が聴診器を使って心雑音を聞いた際の音の大きさや特徴に基づいて分類する方法で、心雑音の程度を客観的に判断するのに役立ちます。心雑音の強さが高いほど、病的な原因が関係している可能性があるため、より詳しい検査が必要になります。

Levine分類の6段階
- グレード1:非常にかすかな心雑音で、医師が注意深く聴診しないと聞こえない。
- グレード2:比較的弱いが、医師が集中すればすぐに聞こえる。
- グレード3:明らかに聞こえる心雑音で、特に集中しなくても認識できる。
- グレード4:強い心雑音で、聴診器を当てたときに胸壁の振動(スリル)が触れることがある。
- グレード5:非常に強い心雑音で、聴診器を軽く当てるだけでも明確に聞こえる。
- グレード6:極めて強い心雑音で、聴診器を当てなくても耳を近づけると聞こえる。
心雑音の強さがグレード3以上の場合、病的な心雑音である可能性が高くなります。特に、グレード4以上の強い雑音がある場合は、心臓弁膜症や先天性心疾患などの病気が関係していることが多く、速やかに精密検査を行うことが推奨されます。
ただし、心雑音の強さだけで病気の有無を判断することはできません。弱い心雑音であっても、重大な心臓病が隠れているケースもあるため、総合的な診断が重要です。
心雑音の原因として考えられる病気
心雑音が発生する原因はさまざまで、生まれつきの心臓の異常によるものから、加齢や病気による後天的な異常まで幅広く存在します。

先天性心疾患(生まれつきの心臓の異常)
先天性心疾患とは、胎児の発育段階で心臓の構造に異常が生じる病気の総称です。心雑音が見つかった際に最もよく疑われる疾患の一つであり、新生児や乳幼児の段階で診断されることが多いですが、軽度の場合は成長するまで発見されないこともあります。
後天性心疾患(成人以降に発症する心臓病)
成人や高齢者で心雑音が新たに指摘された場合、後天的な心臓病が関与している可能性があります。
- 心臓弁膜症
- 心臓の弁が正常に開閉しないことで血流が乱れ、心雑音が生じる。代表的なものには僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症などがある。加齢によって進行しやすい。
- 感染性心内膜炎
- 細菌やウイルスが心臓の弁に感染し、弁が損傷されることで心雑音が発生する。リウマチ熱の後遺症として発症することもある。
- 心筋症
- 心臓の筋肉が異常を起こし、ポンプ機能が低下することで心雑音が発生する。拡張型心筋症や肥大型心筋症などがある。
貧血や甲状腺機能異常による心雑音
心雑音は心臓そのものに異常がなくても、一時的な体調の変化によって発生することがあります。例えば、以下のような状態では血流が速くなり、心雑音が聞こえやすくなることがあります。
- 貧血
- 血液中の赤血球が不足し、酸素を運搬する能力が低下することで心臓が頑張って血液を送ろうとし、結果として血流が乱れて心雑音が生じる。
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、全身の代謝が活発になることで心拍数が増加し、心雑音が発生することがある。
このように、心雑音の原因は多岐にわたるため、単に聴診だけで診断することは困難です。心雑音が指摘された場合は、専門の医療機関で詳細な検査を受けることが大切です。
堺市西区のくげクリニックでは、心雑音の原因を特定するために、心電図検査や心エコー検査などを実施しています。
心雑音を指摘されても問題ないこともある?
心雑音を指摘されると、多くの方が「自分の心臓に何か重大な異常があるのでは?」と不安を感じるかもしれません。しかし、実際には心雑音のすべてが病気を意味するわけではありません。特に、小児や若い方では生理的な要因による心雑音が多く、医学的に問題のないケースも多く存在します。

心雑音には、「生理的心雑音(機能的心雑音)」と「病的心雑音」があります。
生理的心雑音は、心臓の構造に異常がなくても、血流の乱れによって一時的に発生する心雑音です。これは特に小児や成長期の若い方に多くみられ、成長とともに自然に消失することがほとんどです。運動や興奮、発熱などの一時的な影響で血流が増加した際にも聞こえることがあります。
病的心雑音は、心臓の構造的な異常や疾患によって生じるもので、心臓弁膜症や先天性心疾患などが原因となることが多いです。病的心雑音がある場合は、詳細な検査を行い、必要に応じて治療を受けることが推奨されます。
問題のない可能性が低い心雑音の特徴
- 小児期に指摘されたが、成長とともに消失する心雑音
- 運動後や発熱時にのみ一時的に聞こえる心雑音
- 心雑音以外の症状(息切れや胸痛など)がない
- レベル(強度)が弱い(Levine分類でグレード1~2程度)
このようなケースでは、特別な治療を必要としないことがほとんどです。ただし、一度心雑音が指摘された場合は、念のため定期的な診察を受けることが重要です。
注意が必要な心雑音の特徴
- 動悸や息切れ、むくみなどの症状を伴う
- 心雑音の音が強く、時間とともに悪化している
- 心臓弁膜症の既往歴がある
- 感染症の後に突然心雑音が出現した(感染性心内膜炎の可能性)
このようなケースでは、心エコー検査(超音波検査)や心電図検査などの精密検査が必要になります。堺市西区のくげクリニックでは、心雑音の診断と管理を専門的に行っていますので、不安がある方はお気軽にご相談ください。
心雑音の診断が難しい理由
心雑音の種類が多岐にわたる
心雑音は、一人ひとり異なる特徴を持ちます。音の種類や強さ、発生するタイミング、持続時間などが異なり、単純な聴診だけでは診断が難しい場合があります。
- 収縮期雑音(心臓が収縮する際に発生)
- 拡張期雑音(心臓が拡張する際に発生)
- 連続性雑音(心臓の収縮・拡張の両方に聞こえる)
このように、心雑音にはさまざまなパターンがあり、音の特徴を詳細に分析する必要があります。
心雑音の強さだけでは病気の重症度を判断できない
心雑音が強いからといって、必ずしも重篤な心疾患があるとは限りません。
逆に、心雑音がほとんど聞こえない場合でも、重大な疾患が隠れていることもあります。例えば、重度の心臓弁膜症や心筋症の一部では、雑音が目立たないことがあるため、詳細な検査が不可欠です。
心雑音の診断に必要な検査
堺市西区のくげクリニックでは、心雑音の診断のために以下の検査を行います。
- 1.聴診(聴診器を用いた診察)
- 心雑音の種類や強さ、タイミングを確認します。
- 2.心電図検査
- 心臓の電気的活動を記録し、不整脈や心筋の異常を調べます。
- 3.胸部レントゲン
- 心臓の大きさや形、肺の状態を確認します。
- 4.心エコー検査(超音波検査)
- 心臓の構造や血流の異常をリアルタイムで観察し、心雑音の原因を特定します。
心雑音の診断が難しい理由の一つとして、「聴診だけでは正確な診断ができない」という点があります。心雑音が指摘された場合は、できるだけ早く精密検査を受けることをおすすめします。
心臓エコー検査について
心臓エコー検査とは?
心臓エコー検査(心エコー、超音波検査)は、超音波を使って心臓の構造や機能をリアルタイムで観察する検査です。超音波を使うため、放射線を使わず、安全で痛みのない検査です。
心エコー検査で分かること
心エコー検査では、心臓の形や動き、血流の状態などを詳細に観察できます。
- 心臓弁膜症の有無(弁の開閉異常や逆流)
- 心筋の動きや収縮力の評価(心不全の診断)
- 心室や心房の大きさの異常(心肥大や拡張の有無)
- 血液の流れや異常なシャントの有無(先天性心疾患の診断)
心エコー検査の流れ
- 仰向けになり、検査用のジェルを胸部に塗布
- 超音波プローブ(探触子)を胸に当て、心臓の画像を撮影
- リアルタイムで心臓の動きや血流を観察
- 検査時間は15~30分程度で終了
堺市西区のくげクリニックでは、最新の心エコー装置を用いて、心雑音の原因を詳しく診断いたします。
心雑音についてよくある質問
- 心雑音があると、必ず心臓病なのでしょうか?
- いいえ。生理的心雑音の場合は、特に病気とは関係なく聞こえることがあります。
- 子どもの心雑音は自然に治りますか?
- はい。成長とともに消失することが多いです。
- 心雑音があると運動は控えるべきですか?
- 病的心雑音でなければ、特に制限は必要ありません。ただし、医師の判断が必要です。
- 聴診だけで心雑音の原因は分かりますか?
- 聴診だけでは正確な診断は難しいため、心エコー検査などを受けることが推奨されます。
- 高齢者でも心雑音が出ることはありますか?
- はい。特に心臓弁膜症などが原因で発生することがあります。
心雑音を指摘された方は、堺市西区のくげクリニックへご相談ください。最新の検査機器を用いた診断と、専門的な治療を提供いたします。